2008年01月20日

「はんつけ半次郎」第二回(あるあわて者の話)村山方言版

第二回
山寺さついだのは昼過ぎだっけど。
「はんつけ半次郎」は、まんず、寺ば拝んで願掛けさんなねどおもい、本堂の前で、賽銭箱さ財布ごと投げ入れだ。ほして、手ば合わせで、よっくど願掛けした。
これで安心、おれのはんつけも直してもらえる、っておもった途端に、なんだが腹へってきて我慢さんねぐなって、賑やかな門前をあるぎながら、もう一つの財布ば手にして見だど。ほうすっどなんだが軽いような気したけっど。こりゃ、変だ。さっそく、中ばあらためで見っど、十文しかはいっていね。
ありゃ、間違えでしまったって言うんで、あわてで本堂さもどって、坊主ばさがして、これこれしかじかじかだがら、おれの九十文かえしてけろって頼んだど。
ほんでも、ほだな話とおるわげねぇべしたん。
坊主は笑って、とりあわねっけど。
しょぼくれで、門前ばあるいでいったけど。
朝飯もかねできたもんだがら、もう腹へって、腹へっては、あるぐのもおぼつかねぐなったけど。
ちょうどほさ、まんじゅう屋あったけど。どれでも十文だっけど。店先さひときわおっきいまんじゅうかざってあんのば見つけだ「はんつけ半次郎」は、ふところがら財布ばだしてそのままおぐど、そのひときわおっきいまんじゅうばつかみ、外さではったけど。
うしろから「おぎゃぐさぁ~ん」って、店のものの声きこえできたがら、おっきいまんじゅうは、十文でねくて、もっと高いものでねべが、こりゃこまったどおもい、つかまったら大変とばかりに、急いでにげだしたんだど。
がだがだはしって、ようやく川原のあだりまできて、追っ手がいねのばたしかめで、ほっとしてあんばいのいい石ころさこしかけだけど。
ほして、ふところがおっきいまんじゅうだして、がぶりどかぶづいだっけど。
ほしたら、口のながじゃりじゃりってほいずはしぁますしたけど。
ほのまんじゅうは土で作った看板のまんじゅうだっけのだな。
「はんつけ半次郎」は、ほんてんはんつけやろなんだけな。
                                            つづく


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Posted by ほんねず at 08:32│Comments(0)笑い話
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