2007年11月25日

笠地蔵2 (庄内-方言版)

第二回 (全二回)

「ばさま、帰ったぞ…」
「あれ、まぁ、こうでな(大変な)雪ではんで」と、ばさまはじさまの雪っこはだぎながら、背中さ回ったど。
「じさま、じさま何がいい品、買って来てけだが」
「いや~っ、すまねぇのぉ。」
「なじぇしたのや?」
「実はのぉ、道ばたの地藏さま、雪でさんび(寒い)そうでな、わ(私) めじょげねぐって、つい、売り物のすげ笠、お地蔵さまさつけでやったけ。」
「………」
「いや~っ、すまねぇがった。」
「しぇば、なしてほだなあっちぇくせごどば……
「んだたて………地蔵さまが………。」
「なんぼ地藏さまめじょげねぐっても、晩げは年越し、明日は正月だぁ。おらえの神棚さも仏壇さも、何もお供えするものねぇってのに。」て、 ばさま文句たらたらだっけど。
ふだん、信心深いばさまだっけども、こう言うどぎは、手つけらんね。
じさまはしかたなく、黙って布団さもぐって寝だっけど。
ばさまもそっぽむいで寝だっけど。

……間……

さで、夜中になった。
なんだが外でがさがさ音すっけど。
「昼間のじさまの家どごだっ?」て、声すっけど。
「ここだ。ここだ。」 って言うずど、戸口あける音したど。
「どすん。どすん。」て、今度ぁ、何が落とす音したっけど。
つんぎに戸口しまって、さっさど行ってしまったけど。
じさまどばさま、寝床で顔見合わせで、じさま行って見ろ、いや、ばさま行って見ろ、って、おだがいおっかないもんださげの、ゆずりあったけど。
いづまでも、ゆずりあってでもらちあがね。
じさまは心ばきめで、寝床ば出はって、戸口さ行って見たど。
したば、こりゃ、たまげだ。
米俵に、味噌、餅、塩引き。
大判小判が山積みになったけど。
ばさまも、そっと、じさまの後ついできて、これもたまげだ。
二人ぁ、腰ぬかして、声も出ねぐなったけど。
しばらぐして、じさまがやっと、
「ありゃ、地藏様であんめがの」て………。
ばさまも、「んだの、きっと」て………。
二人、顔みあわせっど、仲良く、餅ごっつぉなっけど。
それがら、二人は長者になって、ケンカもすねで、いつまでもしあわせにくらしたっけど。
とっぴんからりん

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Posted by ほんねず at 13:50Comments(4)山形の民話(庄内方言版)

2007年11月24日

笠地蔵1 (庄内-方言版)

第一回 (全二回)

「ばさま、ばさま、とんと昔、とんと昔、しゃべてけろ。」
こどもたちの声が寝床から聞こえてくる。
今夜もおばあさんは孫たちにとんと昔を語り継ぐ。
こうして、何百年も人の心のありようが受け継がれていぐんのだろう。


昔、あったっけど。
ある村さ、仲いいじさまどばさま暮らしたっけど。
今年も、身ば粉にしてづんでね(大変)稼いだど。
んだども、ほんげに暮らしは変わらねで、貧乏でのぉ。
もうじき年越しだ。
正月の祝いの品、揃えんなねぇ。
したはげ、じさまは、朝早く、出がげで行ったけど。
夜なべでこしぇだすげ笠、五つ腰さつけて、一つは自分がかぶってのぉ。
その日は大雪で、まだ止まね。どんどん積もってぇ行ぐはんでの、風もふいで、地吹雪の中、歩いで行ったけど。
したば、道ばたさの、地藏さま、さんび(寒い)そうにの立っていだっけど。
そごさ、じさま通りかがったけど。
じさま立ち止まってのぉ、しげしげどぉ、地藏さまば見っだけど。
雪のなが、さんびそうな地藏さま。
じさま、めじょげねぐ(可哀想に)思ってのぉ、腰さつけっだ売り物のすげ笠、
一つはずして、一人の地藏さまさ付けだけど。
じさま、五づ笠もったけがら、五人の地藏さまさ、笠ばつけでやったども、あど一人、地藏さまいだんだな。
じさまは、困ってなんじょがさんなねなと、ちょっとぎ(少しの間)考え込んでの、ハッとしたのや。じさまは、すぐ、わ(自分)の、笠ばやぐやぐ(わざわざ)ぬいで、一人残った地藏さまさつけだけど。
したば、じさま懐がら手ぬぐい出してほっかむりして、お地蔵さまさ、ふかぶかお辞儀して、「まだの~」って、もど来た道帰って行ったけど。
つづく

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Posted by ほんねず at 10:17Comments(0)山形の民話(庄内方言版)