2007年12月13日

雪女房 (村山-方言版)

第一回(全二回)

山深くさ、若い炭焼き、住んでいだっけど。
朝から晩まで、はる、なつ、あき、ふゆ、煤にまみれでよくかせぐ炭焼きだっけど。
ほの冬はよ、雪、いっぱい降って、炭焼きは大忙し。ままも食うひまねぇっけど。
ある晩、まだすごい吹雪、ふいだっけど。
ほうすっど、炭焼小屋さ、「お晩でやんす、お晩でやんす。」って、おなごたずねできたっけど。
若い炭焼きは、こっげな吹雪の晩、こだな山奥さおなご来るなんて、なじぇしたもんだんべって、不思議に思ったけど。もしがしたら、狐狸妖怪のたぐいが、わ(我)ば化かしにきたんであんめぃがと思ったけど。
ほんでも、おなごは表で、「お晩でやんす、お晩でやんす。」って、なにが困ったみでぇな声で言ったけど。
炭焼きは、戸ばあけで見だっけど。
ほごさ立っていだのはよ、色白でここらへんじゃついぞ見かけだごどもねぇ、美しい娘だっけど。
「わ(我)は旅の者でござりあすが、この吹雪で道に迷い、難儀していやす。どうが一晩、泊めでもらわんねえぇべがっす。」って言ったけど。
「ほいずぁ、なんとしたこったべ。まんず中さはいって、火のそばさ、さ、さっ、早く。」って、おなごば小屋さへっだっけど。
おなごは、小屋さはいっど、雪はだいで一息ついだっけど。
ほんでも、囲炉裏のそばさは近よらねで、流しのすみで休んだけど。
つづく


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Posted by ほんねず at 22:53│Comments(0)怖い話
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