2007年12月08日

「カスベとカラカイ」 世間話 (置賜-方言版)

むかしあったけど。
あるどごろさ珍しいもん好きの殿様いだっけっど。
毎年、いっぱいいっぱい珍しいもの届けらだっけど。
ある年の暮れ、魚、お城さ届いたど。
ほんで、あんまり珍しい魚だもんだがら、誰も名前も食べ方だもしゃねがったど。
ほこで殿様は、国中のものさふれだして、魚の名前たずねでみだっけど。
名前知ってだ者さは金五両ほうびだすっていったけど。
ほうすっど、ある村の物知りじさまが、城さいって魚ば見で言ったけど。
「こいずぁ、カスベって言うもんだ」
殿様は、ほいずば聞いでたいそう喜んで、ほの物知りじさまさ五両のほうびやたっけど。
おもしゃぐねえのはおおぜいの役人衆でな、しばらぐして、ほの魚が干物になったどごろで、まだ、物知りじさまば呼んで、魚の名前たずねだっけど。
じさまは一目魚見っずど、「こいずぁ、カラガイって言うもんだ」っていったけど。
お役人衆は、鬼の首とったみでいにごしゃいで、物知りじばさま「このずほ(嘘)こぎじさま」って言って牢屋さぶちこんでしまったけど。
ほだたて、干物になる前の魚ば「カスベ」と言って、干物になしたら「カラガイ」なんてな、おがしいべ、こいずはずほ(嘘)こいでるってわげだ。
殿様もごしゃいでは、首ば切れってと言ったけど。
ほんで、死ぬ前に一つだけじさまの願いば聞いでやるごどにしたっけど。
じさまは、さいごに自分の息子さ一目逢うだいといったけど。
さっそく息子がお城さよばっで、じさまと逢ったけど。
じさまは息子さこう言って聞かせだっけど。
「息子よ、お前も俺に負けずに物知りだげんとも、けして物知りば鼻にかけでなんねぇ。自分が勉強しただごどば他人さ自慢げにしゃべっど、俺みでいに首切られっぞ。んだたてよ、生のイカば干物にすっどスルメだべ。生のカスベば干物にすっどカラガイになる。ほだな道理もしゃぁね殿様は困ったもんだ」って言ったけど。
ほの話ば聞いだ殿様は、ひざはハタとただいで、ほのじさまさわびで、首きりば取り止めで、カラかイばいっぱいじさまさけだっけど。
次の正月、じさまの家ではいっぱいカラガイ煮で、村の衆さふるまってよろごばだっけど。
         どっぴんからりん、すからりん


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Posted by ほんねず at 20:34│Comments(2)世間話
この記事へのコメント
ウチでは干してもカスベです。秋に生のを煮付けたのは食べましたが、干しカスベはまだ食べてません。
早ぐ食べっでちゃ〜。
Posted by しみじみしじみ at 2007年12月09日 09:43
しみじみしじみさん、おばんです。
生のカスベは食ったごどねっす。
わは、村山が在所だがらねっす。
生はどだな味するんだべねっす。

まんず今日は、カラガイうんとうまがったっす。
焼酎もはがいっては、大分好い気分だっす。

今週も山形のネタでがんばります。
ではおやすみなさいです。
Posted by ほんねず at 2007年12月09日 22:21
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