2007年11月21日

「へらへらのへら1 」 (置賜-方言版)

「へらへらのへら1 」 (置賜-方言版)

「ばんちゃん、ばんちゃん、とんと昔、とんと昔、語ってけろ。」
おぼこたちの声が寝床から聞こえてきた。
今夜もばんちゃんは、孫にとんと昔を語りつぐ。
こうして、何百年も人の心のありようが受けつがれていぐんだべな。


設定:祖母-おしげ 孫-ゆめちゃん(四歳)

第一回 (全三回)

おら、ばんちゃんのとんと昔、おもしゃ(面白い)くて、大好きだぁ。
んだが、ゆめちゃん、おしょうしな(ありがとう)。
んだがら、まだ話っ子聞くだいな。
んだが、んだが、よしわがった。んだらまだ一づ話っ子ぶづがね。

………間………

とんとむがしあったけど。
ばんちゃんが一人で暮らしったっけど。
じんちゃんは、三年前、病気でぽっくり逝ったけど
ばんちゃんは、もどがら信心はしったけんども、亭主、なぐなってから、なおさら、深く、信心ば心がけだけど。
「どうが地蔵さま、おらいのじんちゃんは、あの世のごど、何にもしゃあねがらよっす、ほんてんよろしく頼むっす。ほのかわり、うんまい団子こしぇで、毎日、お供えさせでもらうがらよっす。」って言ったけど。

ゆめちゃんは、神さまどが、仏さまいるって知ってだが?
んぅ………?
信心っていうのはよ、自分の力だけではなじょしてもならねごどあっべ。んでも、毎日なんとが無事に暮らさせでもらっていっからよ、ほのごどばありがだいって思ってよ、んだがら、毎日よ、神さまどが仏さまさ、おしょうしな(有難うございます)って、ばんちゃんは手あわせるんだず。
んじゃ、おれも今度から、ばんちゃんといっしょに手ばあわせっかな。
んだが、んだら、ゆめちゃんも今度いっしょに手ばあわせっべな。

………間………

信心深いばんちゃんは、今日も仏さまさ団子おそなえすっべってこしゃえっだけど。ほのばんちゃん団子こしゃえんのんとじょんでよ、ほんてんまん丸ぐこしゃえだもんだがら、団子は仏さまさおそなえする前に、ひとりで庭のほうさころげでいったけど。団子はコロコロコロ、コロコロコロ、コロコロコロ、あらら、どごまでころがっていぐのやら………
ばんちゃんは、あわてで後をおっかげでいったられば、ちょうどお地蔵さまのまえさでだっけど。
お地蔵さまは、赤いよだれかけで口ばぬぐって、モグモグ、モグモグって何がくってだっけど。ほさ、ばんちゃんきたもんだがら、慌てでのどさつまってむせてしまたけど。
ばんちゃん、「あらら、お地蔵さま、なじぇしてござるっす、」って聞いだっけど。
ほしたら、お地蔵さま、「うまそうな団子、コロコロコロ、コロコロコロ、ころがってきたもんだがら、ごっつおなたけどごよ。」って言ったけど。
「いやぁ、うんまい団子だっけな。」って、お地蔵さま、ちゃっこいベロ(舌)ばだして、にこっと笑っけずもな。ほんてん、ちゃめっけあるお地蔵さまだなえ。
「まるで、ゆめちゃん見でだなえ………」
「おら、ほだなごどすねよ。」
「んだがや………」 ばんちゃんは、ゆめこちゃんばこちょばした(くすぐる)。
「ウフフッ。ばんちゃん止めで。こちょびたいず。」
んだが、ほんじゃ、話の続きはまた明日。


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