2007年11月15日

「やきもち鏡 1 」 (置賜)

むがしあったずもな。
 ある村さよ「とんち」好きの殿様がいだっけど。ほんで、毎年、「とんち祭り」開いでいでよ、今年もほんてん変な問題ば出したっけど。その問題って言うのはよ、灰で縄ばなってみろっていうものだけっど。
 ところが、この殿様に、さらに輪をかけたような「とんち好き」の百姓がいだっけど。
名前は頓吉《とんきち》と言ったけど。
 頓吉は、幾晩も考え続けて、「とんち祭り」の日に、殿様の前に進み出て、鉄鍋を献上したっけど。その鍋の中には、見事な灰でできた縄が入っていたっけど。
 殿様はその灰でできた縄を見てビックリしてしまって、腰を抜かした程だっけど。殿様は、頓吉にどんな方法でこの縄を作ったのか訊ねたっけずもな。
 頓吉はさも自慢げに話したっけど。
「ほいずぁ簡単なごどであんす。普通に縄ばなってから、鍋にぶっ込んで火を付けで灰にしただけであんす」
「ほう、そうであったか。頓吉、いつもながら見事な頓知である。褒めてとらす。褒美をつかわそう。望みのものを申せ。」
「へぃ。」と、頓吉はしばらく考え込んでから、殿様にこう申し上げたそうな。
「あの、殿様、おら、物はいらね。ただ、去年亡くなった親爺にも一度会って、親孝行の真似事がしたいと思いやす。」
 殿様はその望みを聞いてしばらく考え込んでから頓吉に言ったけずもな。
「頓吉、お前の孝行心には、頭が下がるの。まさしくわが領民の鏡である。お前の望みをかなえてやろう。」と、ご機嫌だっけど。
「へぃ、さすがは殿様。ありがたいことで。」
頓吉は殿様にお辞儀をしていたら、「ほら、これをつかわす。」と、殿様が、漆塗りの立派な箱を下さったけど。そしてこう言い足しっけど。
「そうじゃの、これから三年の後、この箱を開けて、中を覗いてみよ。さすれば、そこにお前の父親が必ずいる。必ずにな。ただしその箱を開けるときは、部屋には誰も入れずに、お前一人で開けることに限るぞ。さもなければ、父親はたちまち消えてしまうからな。」と、念押しをして、渡してよこしたっけど。
                 続きはまだあどで………


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